現状、Bリーグの新人選手獲得については自由経済の原理に任されていると言えます。
もしドラフトが導入されたとすると、どんなことが想定されうるのか、簡単に検証してみました。
個人的にドラフト制度自体は、地域格差、地方の人口が減っている背景からも、Bリーグをより地域に根差したコンテンツにするためにいずれ必要なプロセスなのではと感じます。
現状はクラブがオファーを出し、選手が希望すれば、特別指定選手もしくはプロ契約が成立する仕組みです。選手側からすれば喜ばしいことですが、長期的にリーグの発展を考えるといかがなのでしょうか。
東地区においては、アルバルク東京、宇都宮ブレックス、川崎ブレイブサンダース、などなど勢力、資金力のあるチームが一つのエリアに集中している状況です。人口、お金共に集まってくるエリアだからといえば至極当然のことなのでしょうが、この格差は広がっていく一方なように感じます。
今シーズンに関してはアルバルク東京がCS圏外、その代わりに富山グラウジーズが台頭しましたが、代表クラスの所属という観点でいくと勢力が拮抗しているとは一概には言えないと思います。
資金力、実力共に劣るチームが特別指定選手で選手を獲得したとしても、有力なチームに本契約をもっていかれてしまうなんて場面も最近では少なからず見受けられるのが現状です。
人を呼び込めるようなビックネームを獲得できる地方のチームというのは、現実的に難しい状況です。

地方のチームから日本代表を輩出するベースがあるのか
ドラフト制度導入を考える以前に、一つ現状の課題を言うとすれば、A代表になりたい有力な大学所属選手がいたとして、その選手が地方のチームを選ぶのにそれに適した環境があるのかという点です。
実情までは見えてはいませんが、少なくとも現A代表選手はアルバルク東京、千葉ジェッツ、栃木ブレックス所属の選手がほとんどです。
A代表クラスになると年俸が5000万ほどと言われていますから、それに見合う金額を提示できるクラブというのが必須条件になってきます。
個人のレベルアップという点でいくと、より日本代表に近い考え方、技術を盗むには、日頃からA代表選手と競い合うことに越したことはありません。
また、そう言ったチームでは日本トップレベルで戦うという伝統があり、選手1人1人の意識が高いのは間違いないと思います。学生カテゴリーでもそうですが、意識レベルが高いチームではチームのボトムレベルそのものも高いものです。
地方のチームで言うと三遠ネオフェニックスの太田選手なんかは興味深いところですが、太田選手の場合は長年の経験があってこその選択なのではと感じます。A代表経験ゼロの若手の超有望選手がそのチームを選ぶのは容易な選択とはいえないでしょう。
1強もしくは2強の状況で、勝負の大勢が決しているリーグが繁栄するかというと、残念ながら難しいのではないかと思います、、、これは極端な例ですが、NBAでゴールデンステートとクリーブランドがあのまま5年以上独走していたとしたら、もっと多くの人に飽きが生じてきていたことでしょう。NBAというマーケットだからあれが許されたのでしょうが、Bリーグという発展途上国のリーグではまだそれは許されないのではないでしょうか。
やはり、実力格差が最小限に収まるリーグが興行的にも成功するのではと思います。
ドラフト導入によるメリット
・Bリーグ全体の勢力が均衡する
・地方の弱小チームがビッククラブに成り上がれる可能性がある
ドラフト導入によるデメリット
・選手の選択の権利がなくなる
・現況のチーム状況では練習環境、年収事情にチームごとに大きく乖離が生じる可能性がある
・日本代表入りを目指す選手にとっては遠回りを強いられる可能性がある
以上は思いつく限りの一例です。
また、一方ではユースチームを発展させていく方向性も各チーム示しているため、ユースチーム出身の選手の行先を考えると、ドラフト制度とは相反する部分もありますので、今後数年かけて議論されることになるでしょう。
いずれにしてもリーグ自体のボトムアップは必要
Bリーグの今後の発展を考えた時に、毎年毎年プレイオフの顔ぶれが一緒という状況になった場合、リーグのさらなる発展はのぞめるでしょうか。
個人的には難しいのではと感じます。今年、昨年はたまたまコロナの状況が重なり、B1選手がB2に移籍するケースが続出していますし、Bリーグ開幕当初ほどの絶対的なチーム勢力格差は無くなってきましたが、それでもテコ入れは必要でしょう。
リーグが創設当初の勢いだけの時が終わった今だからこそ、ドラフト制度はそのテコ入れとして想定されうる一つの突破口と言えるのではないでしょうか。