
角野亮伍選手と言えば、近い世代なら多くの方が耳にしたことがあるであろう世代屈指のスコアラーです。ポジションはスモールフォワード。背番号は8番になる模様ですね。藤枝明誠高校では、大学2年時にインターハイで優勝候補の市立船橋、福岡大大濠撃破に貢献し準優勝。ウィンターカップでは八村塁擁する明成相手に屈しますが、ベスト4という結果を残しています。3年時はチームの中心として活躍しますが、全国で上位進出を果たすことはできませんでした。高校卒業後渡米、アメリカのSt. トーマスモア高校に編入して、16-17シーズンからサザン・ニューハンプシャー大学に編入しキャリアを積みました。大阪エヴェッサのスカウト陣はアメリカまで足を運びアプローチをかけていたようです。
■生年月日:1996年6月14日
■出身地:神奈川県
■身長/体重:192cm/90kg
■藤枝明誠高等学校→St. Thomas More High School→サザンニューハンプシャー大学
角野選手の輝かしいキャリアについては以下の通りです。いずれA代表に名を連ねてくる選手なのは間違いないと思います。
2012年 U16日本代表
2012年 U18日本代表 第22回FIBA ASIA U-18男子バスケットボール選手権大会 出場
2014年 バスケットボール・ウィズアウト・ボーダーズ・アジア2014 参加 /MVP 受賞
2017年 U24日本代表 第39回男子ウィリアム・ジョーンズカップ 出場
アメリカでの成長とは
SNSやyoutube のコメントを見るとアメリカに渡った角野選手について失敗だったのではとの声があるようですが、個人的には全くそんなことはないと感じます。
正直、高校時代については世代間で能力が突出していましたから、特にディフェンスにおいて抜き癖があるように感じていました。アメリカのデヴィジョン2で試合に出ることが如何に難しいかは、後ほどご説明しますが、攻守共に日本トップレベルの実力が無ければ試合に絡むことはできないでしょう。その点、角野選手は攻守バランス良く成長を見せ、出場条件をクリアしていたと言えます。
フィジカルに戦えるようになり、アテンプトの多かった高校時代よりもシュートは安定しています。Bリーグでも少ないアテンプトである程度のスコアリングが期待できもます。
能力で突出していた高校時代と違い、アメリカでは必ずしもスコアラーとしての役割を任される訳ではありません。アメリカの大学バスケは、日本以上に緻密にシステマティックにプレイすると聞きますから、一見全てこなしていた高校時代よりも地味に感じるのだと思います。
かつてスーパースコアラーとしてアメリカへ渡った富樫勇樹選手や田渡凌選手も、アメリカではゲームメーカー、ゲームキャプテンとしての役割を任され、スコアラーとしての役割は二の次でした。スコアリング能力の高い選手は他にもたくさんいますからね。日本に帰ってきてからしばらくは、両選手とも生粋のスコアラーとしての存在感は薄くなっていたように感じます。
富樫勇樹選手については、日本に帰国後秋田ノーザンハピネッツにて司令塔兼スコアラーとして中心選手をやらせてもらっていたこともあり、バランス良く大きく開花したと言えます。
Bリーグ出場にあたって課題と言えるのは、日本国内独特の自身より身長の低い選手とのマッチアップ(田渡凌選手がBリーグ加入後しばらくアジャストするのに苦悩したとコメントしています。)や、NBAを経験したゴール下の猛者達でしょう。
それさえアジャストし、再びBリーグでスコアラーとしての嗅覚を学べば、次期比江島慎選手、田中大貴選手ポジションとしての活躍を見込めるはずです。むしろ海外経験がある点で、将来的に大きくアドバンテージを見せる可能性があるのではないでしょうか。
所属していたD2とはD1の規模が小さくなった版と言えます。
角野選手が所属していたD2の特徴ついて簡単にご説明できればと思います。
D2はD1と比較して所属校数も少なく、シーズンも2週間程ですが早く終わります。D2はそもそも運動部の予算が少ない中規模から小規模の大学が多く所属しており、バスケ部のスポーツ奨学生は10人までとなっています。
NCAAのディビジョンは大学の運動部の予算の大きさで振り分けておりまして、強さで振り分けられている訳ではなく、D2校が必ずしもD1校よりも弱いワケではありません。
D2独自の特徴としては2つ挙げられます。1つはアラスカ州、カナダ、メキシコ、プエルトリコの大学も所属していることです。実はこの制度はD1には存在しません。加入校やプレイヤー自体はそれだけ多く、才能あるプレイヤーも埋もれている訳です。
NCAAではディビジョンの垣根を超えた試合がノンカンファレンスシーズンに組まれるるようですが、実際にD2大学がD1大学に勝ってしまうことも少なくないようです。実際に、カリフォルニア・バプティスト大学がD1に昇格した初年度から16勝15敗と勝ち越しでシーズンを終えるなど、D2がD1に通用することを証明しています。
かつて田渡凌選手が所属していたのもD2ですが、D1からのオファーがあったものの、実力や奨学制度の都合からそのオファーを蹴ったそうです。
2つ目の特徴としては、D2から直接NBAに辿り着いた選手はほとんどいない点です。D2の選手がNBAにたどり着くルートとしては、2年ほどD2で結果を残し、D1の大学に編入して結果を残すルートです。最近では、デリッホワイト(サンアントニオ・スパーズ)選手なんかがそうですかね。
上記のように、D1が必ずしもD2よりも強い訳では無く、D1でプレーできる実力がある選手でもD2校を選ぶ場合もあるし、D2で腕を磨いた選手がD1校に転校して活躍するケースもある訳です。
ここまでご説明すると、D2とは言え、如何に試合に絡むのが容易ではないかご理解いただけるのではないでしょうか。角野選手は間違いなくその経験を自身のプレイに落とし込んでいる訳ですから、来シーズンの大阪エヴェッサでの活躍が楽しみで仕方ないです!!
あとはリーグが無事開幕出来ることを祈るのみです。

